日本の音楽シーンを代表するシンガーソングライターであり、ロックバンド『安全地帯』のボーカリスト、玉置浩二が66歳を迎えた今でも、その影響力は衰えることを知らない。音楽活動に加えて、彼は俳優としても多くの作品に出演しており、そのキャリアは多彩だ。
玉置が俳優デビューを果たしたのは、映画「プルシアンブルーの肖像」。この作品は一般にホラー映画として分類されているが、その内容は一筋縄ではいかない複雑さを持っている。
物語は小学校を舞台に、いじめに遭う女子生徒・桐島冬花(高橋かおり)が主人公だ。作品は、現代ではあまり描かれなくなった陰湿ないじめの様子を鮮明に描写しており、当時の社会背景も感じさせる。
(C)キティフィルム
玉置が演じる用務員・萩原秋人は、過去に起きた級友の事故死が原因で失語症を抱えている。彼の言葉を失った背後には、深い悲しみと特別な感情が潜んでいるようだ。冬花は、彼の存在から何かしらの影響を受けつつも、彼女の周囲では次々と異常な出来事が発生する。
冬花が新しい友情を築く一方で、閉鎖された旧校舎ではいじめっ子の失踪や教師の不気味な行動が続き、物語はますます緊迫感を増していく。特に、玉置が演じる秋人の不気味さは際立っており、彼の無口さと表情の乏しさが視聴者に恐怖をもたらす。
秋人は、ただの用務員ではなく、彼の内面にはもう一つの人格「タダシ」が潜んでいる。この二重人格が物語の展開に重要な役割を果たし、彼は冬花に襲いかかる。この展開は、ホラー映画としての恐怖だけでなく、複雑な人間ドラマをも提示している。
(C)キティフィルム
物語は進行するにつれ、秋人の恐怖の本質が変化し、前半では無口な彼が不気味さを醸し出し、後半では特殊メイクによって怪物のような姿に変貌する。彼のキャラクターは単なる恐怖の象徴ではなく、深い感情を持つ存在として描かれている。
さらに、秋人が自身の過去や感情をカズミ(磯崎亜紀子)に打ち明けるシーンは、ホラー作品に新たな深みを与えている。「僕にはもう一人の自分がいる」と告白する彼の言葉は、恐怖だけでなく哀愁をも感じさせ、視聴者に強い印象を残す。
最後には、冬花と春彦が旧校舎から脱出する場面が描かれ、子供たちが直面する現実の厳しさと、未来への希望が交錯する。言葉では表現されない彼らの想いが、視聴者の心に響く。
玉置浩二が若い頃にどのような演技を見せていたのか、再評価されるべき作品である。彼の演技は、軽い気持ちで鑑賞すると意外な驚きを与えてくれるだろう。
文=まっつ
プルシアンブルーの肖像
放送日時:2025年3月7日(金) 8:30〜 ほか
放送チャンネル:衛星劇場
(C)キティフィルム
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