大河ドラマ『べらぼう』で元花魁の朝顔役を演じる愛希れいか、声の表現にこだわり「録音を繰り返しチェック」

admin2025-02-24  20

大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』では、華やかな美しさを持つ花魁や、遊郭を運営する女主人、病に苦しむ遊女たちなど、さまざまな女性像が描かれています。この物語は、華やかさと陰影が交差する世界の実情に触れることで、視聴者が作品の深みをより楽しむことができるようになっています。


作品において、蔦重と花の井の幼少期から彼女たちを見守ってきた「松葉屋」の元花魁・朝顔を演じているのは、元宝塚トップ娘役の愛希れいかさんです。彼女は、この難役を通じて、女郎の光と影を見事に表現しています。


「朝顔は蔦重の“ミューズ”のようなキャラクターです」と、演出を担当した大原拓氏が初めて朝顔を演じる前に語った言葉が印象的です。朝顔は蔦重の幼少期において非常に重要な存在であり、本の世界の楽しさを彼女に伝える役割を果たしています。このキャラクターが持つ影響力は、物語の展開に大きな意味を持ちます。


現場での実際の読み聞かせでは、朝顔が柯理やあざみに対して、楽しさや活力を与えるシーンがありました。病を抱え、花魁から女郎へと転落する厳しい運命の中でも、朝顔は明るさを失わずに生きる姿が、蔦重や花の井に大きな影響を与えていきます。


朝顔は非常に強い女性であると同時に、人生の様々な側面を受け入れる大らかさを持ったキャラクターです。このような彼女の姿勢が、ミューズという言葉が示す意味に深く結びついていると愛希れいかさんは述べています。


朝顔の大らかさを演じるために、愛希さんはスロートーンで話すことを意識しました。自分自身の声を録音しては聞き返し、「強さと柔らかさ」を兼ね備えた声色を模索したとのことです。


大河ドラマへの出演は『青天を衝け』に続く2回目。初回の出演時には、子供の頃からの夢が叶った喜びがあった一方、今回は物語の出発点に関わる特別な経験だと語っています。


視聴者から「朝顔はもう出てこないの?」と尋ねられることや、SNSで「朝顔姉さん」と呼ばれることもあり、彼女のキャラクターが多くの人々に愛されていることを実感していると愛希さんは語ります。


【プロフィール】
愛希れいか(まなき・れいか)/1991年生まれ、福井県出身。宝塚歌劇団月組のトップ娘役を経て、テレビや舞台で活躍中。代表作には大河ドラマ『青天を衝け』などがあり、今後は3月に開幕するミュージカル『イリュージョニスト』(東京・日生劇場)にも出演予定です。


取材・文/上田千春

※週刊ポスト2025年2月28日・3月7日号