「スポーツの力が政治を変える!話題のエンタメ作品『TATAMI』が注目を集める」

admin2025-02-24  18

2021年東京オリンピックでモンゴルの柔道選手として銀メダルを獲得したサイード・モラエイは、元々イランの選手であった。彼がイラン代表として活動していた頃、イスラエル選手との対戦を避けるために負傷や棄権を強いられ、多くの試合で満足な結果を出せなかった背景がある。

モラエイは、敵国との直接対決がもたらす政治的な影響を懸念し、常に政府の圧力にさらされていた。そのため、選手としての能力を十分に発揮できなかったが、国籍変更を果たし、IJF(国際柔道連盟)の支援を受けることでようやく自由に戦えるようになった。

この実体験にインスパイアされた映画「TATAMI」が28日に公開される。作品では、イランの女子柔道選手レイラがトビリシで開催される世界選手権で金メダルを狙う姿が描かれる。彼女は練習中にイスラエルの選手ジャニと親しく会話するが、監督のマルヤムはその様子を心配げに見守っている。

トーナメントが始まると、レイラは順調に勝ち進み、映像は彼女の技術の鋭さを際立たせる。演じるアリエンヌ・マンディはボクシングに取り組んでいた過去があり、その身体能力の高さを証明している。作品を通じて、彼女の強い意志が観客に伝わる。

ジャニも好調で、二人が決勝で対戦する可能性が高まっていたが、監督マルヤムには棄権要請という圧力がかかってくる。彼女自身も過去に棄権を余儀なくされた経験があり、その葛藤がリアルに描かれている。

演じるザーラ・アミールは、目の動きで不安を巧みに表現し、キャスティングや共同監督も手がけている。彼女は母国イランを離れフランスに亡命しており、この作品はイランとイスラエルという歴史的な背景を持ちながら、共演者との深い信頼関係が感じられる。

さらに、選手権会場に現れるイランの工作員や、家族への危険が迫る中での通信手段の制約など、ストーリーはスリリングな展開を迎える。共同監督は、この作品を通じて「政治とスポーツ」というテーマに迫りながら、エンターテインメント性も兼ね備えたものに仕上げることを目指している。

この作品は、歴史的対立を背景にした深いメッセージを持ちながら、観客に新たな視点を提供することを期待されている。